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アイプチはまぶたのたるみの原因?医師おすすめの改善方法を解説!

更新日:2020年12月14日

形成外科専門医の齋藤隆文といいます、東京の聖路加国際病院と加藤クリニック麻布で形成外科と美容外科をしています。


いわゆるプチ整形が流行し、今では埋没法で手軽に二重まぶたを手に入れることができる時代になっています。しかしながら、手術にはやっぱり抵抗がある人もまだまだ多いです。

ネットやyoutubeで検索すると、このような人に向けた、アイプチやマッサージで二重まぶたが作れる!というような手軽に試せそうな方法がたくさん並んでいます。


ですが、手軽にできるこういった二重まぶたの作り方には、少々注意が必要です。

具体的には、まぶたの開きを悪くしてしまったり、老化を早めてしまうリスクがあるんです。これからまぶた整形を考えている方や、アイプチやマッサージで二重まぶたを作り、その後まぶたに何かしらの違和感を覚えている方にはぜひ読んでいただきたいと思っています。


前回の記事では、


・一重まぶたの人と二重まぶたの人は何が違うのか?

・小さい時・若い時は一重だったまぶたが、年齢を重ねて二重まぶたになった。朝は一重だけど、夜は二重。こんな方いませんか?


上記のような疑問について解説させていただきました。これで、二重まぶたがどのようにできているのかはおわかり頂けたかなと思います。


この記事では、アイプチで作った二重まぶたのデメリットと、こういったデメリットの解決策について、実際のお写真を見ていただきながら解説しています。 アイプチの話だけ知りたい、と言う方は、次の記事へどうぞ。


ただ、まぶたの手術と言っても、そのやり方は外科医によって実に様々です。わずか4cm四方程度の領域に実に複雑な構造が構築されており、曲線により形作られた3次元的でダイナミックな臓器を正確に操作し、見た目も機能も美しい上まぶたを目指して丁寧に治療しなければなりません。手術をお願いする先生が、どのように考えて治療をしているのかを知っておくことは、自分が手術後にどうなるのかを理解する助けになると思います。


私が普段行っているまぶた治療については、他の記事でも詳しく紹介しています、ぜひ合わせて読んでいただけたら嬉しいです。


アイプチによるたるみから考える、私は埋没法?切開法?

実はアイプチのこういったリスクはwikipediaでも取り上げられています。

Wikipediaでアイプチ、と検索すると、


長時間、あるいは繰り返し使用すると肌の荒れや炎症を起こすこともある。まぶたに負担がかかり、皮がのびたり、跡が残ったりすることがあるので、注意が必要である。


と書かれています。そうです、アイプチには皮膚が伸びてしまうリスクがあるんです。いわゆる、たるみリスクです。アイプチに使われている、ふたえのりが皮膚のバリア機能を壊したり、アレルギーのもとになり、皮膚に炎症が起こることで痒みの原因になります。

前回の記事を読んでいただくと容易に想像できると思います。二重になるために必要な穿通枝が無かったり弱かったりする人に対して、無理やり皮膚にのりを塗って二重まぶたを作ろうとするわけです。二重瞼になることを邪魔している皮膚や脂肪などの抵抗する負担を皮膚に一手に背負わせるわけです。こうなると、炎症がおきてかゆくなった皮膚を頻繁にこすってしまったり触ってしまい、皮膚のたるみがどんどん進行してしまいます。

同じ理由で、やはりマッサージも皮膚のたるみを進行させてしまうリスクがあるわけです。


これは皮膚科の先生方の間でも問題視されており、注意喚起がされています。わかりやすい例として、記事の最後に、皮膚科の先生からのアイプチによる皮膚炎の報告を引用しておきました。ちなみにこの報告のオチは、最終的に美容外科で二重まぶたにしたことでアイプチを使わずに済み、症状が改善した、というものです。美容外科は、時にこういった機能的な要素も持ち合わせているのです。

世の中には、手術をしないお手軽プチ整形と称した様々な商品で溢れています。これらは使い方によっては非常に効果的な物もあるのだろうとは思います。しかしながら、このアイプチのように、思わぬ副作用を持ち合わせているケースもあったりします。正しい知識を身につけることが大事です。




簡単に説明すると、


・埋没法により、皮膚とまぶたを開くための筋肉の間を繋いであげることで穿通枝のような役割を作ってあげる

・二重まぶたを作るのを邪魔する皮膚や脂肪の要素が大きい場合には、必要に切開法も選択し、これらの要素を取り除いてあげる。


まぶたの重さの原因を覚えましょう。

さて、前回の記事で、アイプチを使ってまぶたが重くなっていることを僕に指摘された患者さんについてご紹介しました。なぜ僕は、この方がまぶたが重いだろうと判断したのでしょうか?まぶたの開きを見て判断したのではないんです。


① まぶたを開ける時に眉毛が一緒に上がる

お話していると、瞬きをする度に眉毛が上がっていました。これはまぶたを開けづらいため、それを補助するために眉毛が上がってしまうのです。一つは、皮膚のたるみがある場合にこういった眉毛の動きが出ます。あとは、二重の線が弱い、穿通枝が弱い場合にも、うまく二重の線が折れてくれないため重いと感じやすくなります。正面視の術前写真は、まぶたを開ける瞬間を捉えていますが、下を見ている時にも眉毛が上がってしまっていることは、まぶたの重さが眉毛に影響を与えていることを示しています。


② まつ毛の根本にお肉が乗っている

まつ毛の生え際から二重の線までの皮膚のたるみ、お肉の量も重要です。ここのボリュームが多い場合も、二重の線が折れづらい原因となるため、アイプチで無理やり折れるように作った場合はまぶたを開くときの負担となっています。これはやや複雑な原理になるため、まつ毛の根元はスッキリ見えた方が良いと覚えていただけるだけで良いと思います。

アイプチのふたえのりは二重の線に合わせて塗るため、痒くなって擦るのもここの部分になります。当然、ここの皮膚を何度も擦ることになるため皮膚のたるみは二重の線の近くに出てきます。術前写真を見ると、二重の線からまつ毛の間の皮膚にたくさんのシワがあるのが見てとれます。これが、皮膚のたるみです。


こういったことが起きてしまっており、まぶたが重いなと感じている方は、しっかり続きを読み進めてくださいね。


アイプチによるたるんだまぶたを自然にきれいに改善する

こういった、まぶたの開きを邪魔する要素を“開瞼抵抗”と呼びます。開瞼抵抗になるのは、皮膚のたるみだけでなく、眉毛や脂肪の位置や量、まぶた内部の構造的な問題など他にも色々な原因があります。今回は、皮膚のたるみと穿通枝の弱さが主な原因と診断しました。


実際には、埋没法でも多少改善が期待できる可能性がありましたが、皮膚のたるみが明らかなこともあり、一度ですっきりよくしましょうということで、全切開での開瞼抵抗の調整を行うこととしました。


切開でまぶたの構造を一つ一つ丁寧に確認し、出血させないようにしながら必要な操作を進めていきます。

この時に同時に大事なのが、まぶたを開く力のチェックと調整もしてもらうことです。

まぶたの開く力だけをピュアに確認する方法があるので、これでチェックしてもらい、自分で鏡を見て開きがちょうど良いかを相談します。この方は、開きの調整は希望されませんでした。

たるんだ皮膚を切除し、穿通枝を手術的に作る操作を丁寧に仕上げて、二重の線をきれいに作り直しました。術前後のお写真です。






術後の写真では、

① 正面だけでなく、全ての方向で眉毛が上がらず楽にまぶたを開けられるようになり、おでこのシワもきれいになりました。

② まつ毛の上のお肉のたるみがとれ、まつ毛の根元がスッキリきれいに見えるようになりました


そして、術後の外来では、

“手術してから頭痛がなくなって痛み止めを全く使わなくなりました〜!!びっくりです!!”

と、見た目以上に機能的な改善にご自身も驚かれていました。


実際には、全員の方が同じように症状が改善するとは限らないため、やはり術前の診察をしっかり受けて、どれが改善しそうか、どれは残りそうか、など術前に効果が期待できることについて担当医の先生ときちんとお話してから治療に進むことが大事になります。


今回のたるんだアイプチまぶたの治療を通してお伝えしたいことは、


①アイプチは、穿通枝も開瞼抵抗もどちらも改善してくれないよ

②埋没法は穿通枝を補助する役割しかないよ

③腫れぼったい厚い皮膚、脂肪などの開瞼抵抗がある場合には、埋没法に脱脂を追加したり切開法を選択する必要があるよ


ということです。

もちろんこれが全てなわけではありませんが、理想のまぶたを手に入れるための一助となれば幸いです。



治療についてのご相談や受診のお問い合わせについては、当HPメインページ

お問い合わせメールアドレスのリングがございますので、そちらからご連絡ください。


*手術には常にリスクが伴います。術前に主治医から丁寧な説明をしてもらいましょう。


施術内容:

全切開重瞼術 眼瞼下垂症手術(皮膚切除法)

費用:

自費手術の場合 約39万円(モニターの場合30%off 2020/11現在)

眼瞼下垂症に対する保険治療の場合 3割負担で約5万円 

リスク:

腫れ、内出血、痛み、違和感、左右差や後戻り、ドライアイ、眼瞼痙攣、霰粒腫、など


聖路加国際病院 形成外科 月曜日・金曜日 初診外来 予約制

加藤クリニック麻布 不定期の木曜日・土曜日 初診外来 予約制


引用)

二重瞼用接着剤による上眼瞼皮膚炎(いわゆるアイプチ皮膚炎)の1例 治療法の選択肢としての重瞼術について(原著論文/症例報告)

Author:藤本 美津夫 他(自治医科大学 皮膚科学教室)

皮膚科の臨床 (0018-1404)47巻6号 Page819-822(2005.06)


23歳女.数年前から二重瞼用接着剤(以下接着剤)を使用しており,上眼瞼部にしばしばそう痒,紅斑を生じていた.今回,痛みを伴うようになったため受診した.両側上眼瞼は軽度腫脹し,粃糠様鱗屑を伴う紅斑と苔癬化,色素沈着を認めた.使用中の接着剤"as is"についてパッチテストを行ったが陰性であり,皮疹の原因は繰り返し加わった外力によりテープストリッピングの原理で皮膚のバリア機能が障害されたことではないかと考えられた.いずれにしても接着剤使用と皮疹との関連は明白であり,使用を中止するよう指導したが,理解を得られなかったため,問題解決の選択肢の一つとして手術療法について説明した.後日,紹介医療機関の美容外科医院で埋没式重瞼術を受け,本人の満足が得られた

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