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  • 齋藤隆文

なぜ大人になってから二重になった?まぶたの不思議に答えます!

形成外科専門医の齋藤隆文といいます、東京の聖路加国際病院と加藤クリニック麻布で形成外科と美容外科をしています。


いわゆるプチ整形が流行し、今では埋没法で手軽に二重まぶたを手に入れることができる時代になっています。しかしながら、手術にはやっぱり抵抗がある人もまだまだ多いです。

ネットやyoutubeで検索すると、このような人に向けた、アイプチやマッサージで二重まぶたが作れる!というような手軽に試せそうな方法がたくさん並んでいます。


ですが、手軽にできるこういった二重まぶたの作り方には、少々注意が必要です。

具体的には、まぶたの開きを悪くしてしまったり、老化を早めてしまうリスクがあるんです。これからまぶた整形を考えている方や、アイプチやマッサージで二重まぶたを作り、その後まぶたに何かしらの違和感を覚えている方にはぜひ読んでいただきたいと思っています。


・一重まぶたの人と二重まぶたの人は何が違うのか?

・小さい時・若い時は一重だったまぶたが、年齢を重ねて二重まぶたになった。朝は一重だけど、夜は二重。こんな方いませんか?

・アイプチで作った二重まぶたのたるみを改善した実際のケース


今回は二重まぶたの基礎知識編として、こういった疑問について解説してみたいと思います。


そして次の記事でアイプチで作った二重まぶたのデメリットと、こういったデメリットの解決策について、実際のお写真を見ていただきながら解説しています。 アイプチの話だけ知りたい、と言う方は、次の記事へどうぞ。


ただ、まぶたの手術と言っても、そのやり方は外科医によって実に様々です。わずか4cm四方程度の領域に実に複雑な構造が構築されており、曲線により形作られた3次元的でダイナミックな臓器を正確に操作し、見た目も機能も美しい上まぶたを目指して丁寧に治療しなければなりません。手術をお願いする先生が、どのように考えて治療をしているのかを知っておくことは、自分が手術後にどうなるのかを理解する助けになると思います。


私が普段行っているまぶた治療については、他の記事でも詳しく紹介しています、ぜひ合わせて読んでいただけたら嬉しいです。


一重まぶたの人と二重まぶたの人は何が違うのか?


さて、二重まぶたの作り方やアイプチのリスクを学ぶ前に、そもそも一重まぶたと二重まぶたの違いはなんなのでしょうか。

現在医学的に最も影響していると言われている違いを一言で言うと、“皮膚穿通枝があるかどうか”です。

なんの話か全くわからない方がほとんどだと思いますので、とても噛み砕いて、一から説明していきます。

まぶたの中には、まつ毛の根本が埋まっている部分のすぐ下に軟骨のような“けんばん”という板があり、これにまぶたを引き上げる筋肉がまぶたの奥深くから伸びてきています。この筋肉が収縮するとけんばんが上の方に引き上げられることになるので、まぶたが開きます。

そしてこの筋肉から、まつ毛の根本近くの皮膚に伸びていく枝があります。下の図でいうと、青い繊維が枝のように伸びている部分がそうです。



これが、“穿通枝”です。この穿通枝がたくさん伸びていれば、まつ毛から離れたかなり上の方の皮膚まで一緒に引っ張り上げてくれることになります。図では、まつ毛の根元から黒点の部分まで穿通枝が伸びているのがわかります。

この黒点より下側がまぶたを開ける時に一緒に引き上がるため、



このようになりますね。

穿通枝のある睫毛側、図の中の②の部分と、穿通枝のない上の部分との境界、つまり①の点で、二重まぶたの線ができています。


すごくざっくり言うとこんな感じです。


形成外科の勉強を始めてしばらくした頃、この事実を知った僕は、ひどく納得しました。そして周りの人にこの感動を伝えるべく、友人や家族にも同じように説明を繰り返していました。

そこで、ある日、素朴な疑問が湧いてきました。


あれ、小さい時の写真だと自分は一重まぶただったみたいだ。アルバムを見返すと、どうやら二重まぶたになったのは小学校高学年くらいのようだ。途中で穿通枝が生えてきたの?



小さい時・若い時は一重だったまぶたが、年齢を重ねて二重まぶたになった。朝は一重だけど、夜は二重。こんな方いませんか?この理由を説明します。

念のために申し上げておくと、穿通枝は後から生えてこないと考えられています。

では、なぜ大人になって二重まぶたになるのか。

これに対する答えとして、朝は一重まぶた、夜は二重まぶたになる人がいることがヒントになります。こういう人は、朝はまぶたが浮腫んで腫れぼったくなり、二重の線が消えてしまっています。これが、夜になるにつれて浮腫みが引いてくることで二重まぶたがはっきりしてくることになります。


赤ちゃんのお肌、とてもモチモチしていていかにもたっぷりの水分を含んでいそうですよね。生まれた時は体の80%近くを占めていた水分が、年齢を重ねるとともにだんだんと減っていきます。


なので、例えるならば、加齢に従ってお顔の水分も減ることで浮腫みが改善し、パンパンに張った皮膚にも余裕が出てきます。この時に、穿通枝のある部分とない部分の境界が少しずつはっきりしてきて、人によってはここでシワができるようにして二重まぶたが形成されます。水分がたっぷりのうちは、穿通枝がうまく作用できないので、こういった折れ返しの線ができないのです。


実際には、これはまぶたの水分だけでなく、脂肪の量や皮膚の厚みなど、いくつかの要素が穿通枝の境界線で二重まぶたの線が折れるのを邪魔していると考えられます。実際の構造は超絶複雑です。


さて、このことからわかるように、二重の人には2つのことが言えることになります。


①二重の線を作るための穿通枝と言われる構造がある。

②皮膚の厚みや水分、脂肪が二重まぶたの線で折れるのを邪魔しない。


逆に言えば、このどちらかを満たしていない場合には二重まぶたにはなれないことになります。


こういった構造の違いはまぶたのいくつかの所に特徴として現れてくるため、生まれつき二重の人と大人になってから二重になった人ではまぶたの加齢による変化が異なってきます。まぶた治療にとってはとても重要なポイントです。

ちなみに僕は、まぶたを見るだけでその人が生まれつき二重なのか、大人になってから二重まぶたになったのかを言い当てることができます。


このあたりが、自然な二重まぶた、積極的に作りにいくキリッとした二重まぶた、などのデザインの違いに直接影響してくるので、外来で丁寧に説明させていただいています。


アイプチで作った二重まぶたを改善した実際のケース



これは、まぶたを閉じた状態から目を開けた瞬間を撮影した写真です。感じますか?頑張ってまぶたを開けてる感を。

今回の患者さんは、実は元々はまぶた治療が目的ではありませんでした。ピアスの穴を開けた耳たぶがケロイドになってしまい、見た目がひどくなってきてしまったため僕の外来に相談にいらっしゃいました。

両方の耳をきれいに治して、しっかり外来通院で再発がないことも確認して、よかったね〜とお話していたのですが、実は僕はもう一つ別に気がかりなことがありました。


この子、まぶた重そうだな〜。


職業病なんですが、やはり改善してあげられると思うとついつい聞いてしまいます。


“まぶたが重くないですか?”


本人は言われるまで自覚したことがなかったようで、最初はキョトンとしていました。


まぶたの状態から、アイプチなどで思春期以降に二重になったのではないかということ、おでこにシワが入るほど眉毛を上げてまぶたを上げているため、眼精疲労や頭痛、肩こりなどがないか、など色々とお聞きしました。


すると、アイプチを思春期に使っていたこと、歯ぎしり、肩こり、頭痛がひどく、もうずっと痛み止めを手放せない日々が続いていたとおっしゃるのでした。


アイプチで作る二重は、先ほどの1も2も満たしていない状況です。なので、無理やり、皮膚を折れ込んで作ることになり、しかもその負担を全て皮膚だけに背負わせている状況なのです。


こういったことがまぶたの皮膚の加齢を早めてしまい、頑張って開けるまぶた、を作り上げてしまいます。


では、どうしたら良いのか。


次回に続きます。


治療についてのご相談や受診のお問い合わせについては、当HPメインページ

お問い合わせメールアドレスのリングがございますので、そちらからご連絡ください。


*手術には常にリスクが伴います。術前に主治医から丁寧な説明をしてもらいましょう。


施術内容:

全切開重瞼術 眼瞼下垂症手術(皮膚切除法)

費用:

自費手術の場合 約39万円(モニターの場合30%off 2020/11現在)

眼瞼下垂症に対する保険治療の場合 3割負担で約5万円 

リスク:

腫れ、内出血、痛み、違和感、左右差や後戻り、ドライアイ、眼瞼痙攣、霰粒腫、など


聖路加国際病院 形成外科 月曜日・金曜日 初診外来 予約制

加藤クリニック麻布 不定期の木曜日・土曜日 初診外来 予約制


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